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(14)謝罪は本物か…「傍聴席は見ない」

検察側は情状面についての質問を続ける。遺族や祐輔さんへの謝罪の気持ちは本当なのか、歌織被告を問いつめる。

検察官「謝罪の気持ちは、祐輔さんに対してはないように思われるが」

歌織被告「彼に対しては『申し訳ない』という言葉しか見当たらないが……。まだ正直、どういうふうに自分の気持ちを言ったらいいか、よくわからない」

検察官「祐輔さんに対して、本当に申し訳ないと思っているのか」

歌織被告「思っている。(他人から)どう思われているかわからないが…」

検察官「今でも祐輔さんが悪いと思っているか」

聞かれたくない質問だったのか、歌織被告は数秒間にわたって沈黙した後、消え入るような声を絞り出した。

歌織被告「…そんなこと…ありません」

検察官「法廷に入る際に遺族の前を通っているが、どういう気持ちなのか」

歌織被告「正直言って、そちら(傍聴席)の方は人もたくさんいて…見ないようにしている」

検察官「遺族がいることはわかるよね」

歌織被告「本当に申し訳なく…」

検察官「今まで(歌織被告を)見ているが、(遺族に)頭を下げたことはなく、顔も合わせないようにしているとしか思えないが」

歌織被告「申し訳なく合わせる顔がないから」

検察官「いつまで三橋の姓を名乗っているのか」

歌織被告「わかりません」

検察官「(三橋姓について)遺族の気持ちを考えたことは」

歌織被告「そこまでは申し訳ないが…」

15時4分。検察側の質問が終了。弁護側は歌織被告と打ち合わせをするため休廷を提案し、10分間の休廷に。顔を紅潮させ伏し目がちに法廷を出る歌織被告。傍聴席へ視線を投げかけることはなかった。

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