その後(2010.11.25)

 

羽賀研二被告、無罪から一転窮地に 通話100回“生涯の友”、偽証で有罪

羽賀被告

 無罪の決め手を「偽証」と認定−。詐欺罪などに問われ、1審大阪地裁で無罪となったタレント、羽賀研二被告(49)の公判でうその証言をしたとして、偽証罪に問われた元歯科医の徳永数馬被告(49)に対し、大阪地裁は25日、証言の信用性を認めずに有罪を言い渡した。逆転を期して偽証の立件に踏み切った検察側に軍配が上がり、羽賀被告は一転して窮地に追い込まれた。

 目が不自由な徳永被告はこの日、付き添いの男性らに背中を押され、グレーのスーツ姿で入廷した。証言台の前で着席すると、静かに判決文の朗読に聞き入った。偽証罪に問われたのは、平成20年8月28日に羽賀被告側の証人として出廷した際の証言だった。

 徳永被告「(被害者とされた男性に)40万円の株を120万円で買って、もうかるのかって聞いた」

 弁護人「絶対に間違いないですね」

 徳永被告「はい」

 被害男性が未公開株の元値を知った上で羽賀被告から購入したことを示す証言で、詐欺罪の前提を覆す内容だった。大阪地裁は同11月、この証言を重視し羽賀被告に無罪を言い渡した。

 未公開株をめぐるやり取りは本当にあったのか。徳永被告の証言で、その場にいたとされた男性は「まったく覚えがない」と対立。いわゆる“密室での会話”の有無が争点となった。

 検察側は、さまざまな客観証拠を積み重ねた。羽賀被告から徳永被告側への100回超に上る通話記録、ハワイやバリで一緒に撮影された記念写真、そして羽賀被告の逮捕翌日に徳永被告が送信した「いつでもうごきます。生涯の友より」というメール…。

 こうした証拠を基に、検察側は「極めて親密な関係にあったのに、『面識がある程度』と偽証した」と指摘。「親密だからこそ偽証の動機がある」と、核心部分の信用性についても突き崩しを図った。

 ただ、偽証罪の成立には証言が事実と異なるだけでなく、記憶に反することをあえて供述したという「故意」が必要とされる。

 弁護側は事実と違う証言について「勘違いであり、故意はない」と主張。羽賀被告との間柄も「徳永被告は有名人好きの人物。チャンスがあれば写真を頼み、親しいとアピールしたがる。タレントとファンの垣根を越えるほど親しいわけではない」と検察側の構図を否定していた。

 閉廷後、徳永被告は報道陣に「弁護士からノーコメントといわれている。申し訳ありません」と淡々と語った。

⇒羽賀研二被告めぐり偽証罪、知人が控訴