第5回公判(2008.9.8)

 

(2)「本当のことです」 涙声で懇願状態の羽賀被告

羽賀被告

 検察側の知人男性への尋問が終わり、続いて羽賀、渡辺両被告の弁護側の尋問に移った。

弁護人「カフェへの出入りですが、平成10年ごろにもあなたの部下を連れて行ってますよね」

証人「はい」

弁護人「平成10年に行った理由は」

証人「東京では有名店で部下の労をねぎらうために」

弁護人「このカフェに良い印象を持っているようなので、もっと(頻繁に)行っていたのでは」

証人「いいえ」

弁護人「カフェのオーナーに会ったことは」

証人「ないです」

 弁護人は、知人男性が『カフェのオーナーも医療関連会社の未公開株を買っていると聞いた』と証言したことについて質問を始めた。

弁護人「オーナーが何株いくらで買ったか聞きましたか」

証人「聞いてない」

弁護人「1株120万円が高いと思っていたから、オーナーにいくらで買ったか聞こうと思っていたのか」

証人「株代がもっと安くならないかと羽賀被告に相談していたんです。でも売り主の言い値だと聞いていたので、(羽賀被告以外の)他の人から買えないかと思って。オーナーから他の購入先を聞けるかもしれないと」

弁護人「オーナーが120万円より安く買っているかもしれないと思って、確認したかったのか」

証人「そういう期待感はありました」

弁護人「オーナー以外の人がいるとの期待は」

証人「なかった」

弁護人「カフェは芸能人が集まる店なので他にも買った芸能人がいるのでは」

証人「芸能人はあまり株買いませんよ。実業家とかなら買いますけど」

弁護人「平成13年に羽賀被告とカフェで会ったときの話は警察にしたか」

証人「してます」

弁護人「調書に取ってもらったか」

証人「取る取らないは見ていないが、カフェで会ったことは説明しました」

弁護人「カフェで羽賀被告と株の売買契約などの話をしたのはなぜ」

証人「僕の希望で。カフェにいればオーナーに偶然でも会って、株の話を聞きたかったから」

弁護人「紹介してもらえばいいのになぜ偶然出会えればいいと思ったのか」

証人「羽賀被告から雲の上の人だと。だから直接会うのは難しいというようなことを聞いていたから」

 ここで別の弁護人に変わり、質問が続けられた。

弁護人「オーナーに会えたらというけど、医療関連会社の役員などに聞こうとしていないですよね」

証人「してません」

弁護人「医療関連会社の資料は持ってましたね」

証人「羽賀被告からもらったものだけですけど」

弁護人「医療関連会社の連絡先もわかってますよね」

証人「はい」

弁護人「羽賀被告から医療関連会社に直接連絡するなといわれたのか」

証人「勝手なことはしないでくれといわれた」

 その後裁判官が質問し、知人男性への尋問は終了。知人男性は退廷し、羽賀被告への質問に移り、弁護側から質問が始まった。

弁護人「平成13年にカフェで知人男性と会ったのか」

羽賀被告「会いました」

弁護人「知人男性は、オーナーと会ったことがないと言ってますけど」

羽賀被告「僕が紹介しました。そこで株の話もしています」

 羽賀被告は、知人男性がオーナーに会ったことがないと証言したことに信じられない様子で答えた。

弁護人「時期はいつごろ」

羽賀被告「オーナーはよほどのことがないかぎり昼から3時間、夜も5時以降は9時ごろまでいます。(知人男性に)紹介しました」

 弁護側の質問は10分ほどで終わり、検察側の質問に移った。

検察官「東京で知人男性と会うときはいつもこのカフェですか」

羽賀被告「いいえ。都内のホテルのラウンジもあるし、指示された場所に行くこともありました」

検察官「(知人男性は)東京には仕事で来ていたのか」

羽賀被告「100人ぐらい(知人男性の)関係者が集まっている場所に呼ばれたこともあります」

 検察官は、知人男性がオーナーと会ったことがないと、羽賀被告と食い違う証言をしていることについて質問した。

検察官「あなたはカフェのオーナーを(知人男性に)紹介して、株の話もしたと言うけど」

弁護人「ちゃんと話をしてました。未公開株の話も。本当のことです。株の値段の話も出ていました」

 羽賀被告は涙声になり、検察官に懇願するように答えた。

 検察官の質問はわずかで終わり、続いて裁判官が質問した。

裁判官「オーナーを紹介した時と株の話をしたのは同じ時か」

羽賀被告「はい。僕と知人男性がテーブルにいて、オーナーはテーブルを回っていたんです。その時に医療関連会社は良い会社ですからと話をしていました」

裁判官「その時期ははっきりしないのですね」

羽賀被告「はい」

 この日の公判は約1時間。中川裁判長が次回の公判期日を今月16日に決めて閉廷した。

 次回は検察側が改めて論告求刑し、弁護側の最終弁論が行われ、結審する予定。

⇒第6回公判