第2回公判(2008.3.6)

 

(5)1000万円が14億になっていて…

羽賀被告

 午後1時10分、公判が再開され、質問者は渡辺二郎被告の弁護人に代わった。

弁護人「(被害者とされる)男性から(医療関連会社の)株を売ってくれと言われたが、売りたくなかったのか」

羽賀被告「値上がりすると信じていたので、売りたくなかった」

弁護人「株は高くなると思ったのか」

羽賀被告「思っていた」

弁護人「男性もそう思っていたのか」

羽賀被告「そう思う」

弁護人「男性が株を欲しい理由をどう思ったか」

羽賀被告「値上がりするからだと思う」

弁護人「実際に男性と交渉したときの話だが、18年4月ごろ、顧問弁護士にお願いし、最初は代理人として交渉してもらおうと思ったのか」

羽賀被告「はい」

弁護人「顧問弁護士に何をしてもらうつもりだったのか」

羽賀被告「基本的に和解案をもちかけられたとき、この先生にお願いしようと思っていた」

弁護人「株の金銭消費貸借書を見たことがあるか」

羽賀被告「ない。最後に出来上がったものしか見たことがない」

弁護人「書面作成段階で顧問弁護士に電話したことはあるか」

羽賀被告「ある」

弁護人「分割払いの確認書が手元に届いたことはあるか」

羽賀被告「あると思う」

弁護人「6月3日ごろ、九州にいたころに受け取ったのか」

羽賀被告「はい」

弁護人「このころは分割でまとまると思っていたのか」

羽賀被告「はい。最初に300万円を入れて、後の1400万円は一括払いということになった」

弁護人「実際に調印することになったのか」

羽賀被告「はい。(大阪市天王寺区の)都ホテルでやったが、元々私は東京を指定して顧問弁護士の所をお願いし、交渉は吉川さんらにお願いしていた」

弁護人「あなたの記憶としては、一括払いが固まって、それから場所が決まったという流れか」

羽賀被告「はい」

弁護人「平成18年6月7日に調印されてお金も渡った。その前に1000万円の分割という時にもすぐに用意できないので、吉川銀二さんが用立てるということだったか」

羽賀被告「はい。『俺が貸したるから、ヤクザとかかわらないで、終わらせてしまえ』と言われた。そのときはうれしかった」

弁護人「あなたはそのとき、無事終わったと思ったのか」

羽賀被告「思った」

弁護人「その翌日、吉川さんから、そして顧問弁護士から電話があったと」

羽賀被告「はい」

弁護人「その後、顧問弁護士からの手紙で『男性本人が心底納得したわけではない』と知り、弁護士に電話したということか」

羽賀被告「はい。『何かまずかったんでしょうか』と電話したら『こちらサイドに落ち度があったわけではない。何かあれば民事、刑事で対応できるので大丈夫』と言われた」

弁護人「それから、名古屋での展示会場に暴力団風の2人が来たことがあったのか」

「2人は異様だったのか」

羽賀被告「ああいう人相の人なので、会場に2人で来てがに股でのっしらのっしら来て、普通の雰囲気じゃなかった。お客様に対応しながら見ていたが、そういうことがあるとは予期していなかった」

弁護人「マネジャーは気を利かして控え室にあなたを連れて行ったのか」

羽賀被告「2人が『羽賀研二やろ。これ見てくれ』と書類を渡してきた。最初は男性の関係と思いもせず、資料を見たら『14億』などの文字が見えたので男性の件とわかった」

弁護人「終わったと思っていたのに、こういうことがあってどう思ったか」

羽賀被告「さんざんこういうことがあったので…。6月の和解で1000万円と指定してきて、急きょ用意して終わったと思っていたので、それが14億になっていて意味不明というか、びっくりした」

弁護人「2人が来たことについては」

羽賀被告「暴力団風の人を送り込んできたと思った。パニックだった。2度とこの店の人は呼んでくれないでしょうし、いろんなことが頭をよぎった」

弁護人「男性側はまた同じことを繰り返すと思ったか」

羽賀被告「なんでこんなことをしてくるのかなと思った」

弁護人「2人が来たことを吉川さんに電話したか」

羽賀被告「はい。吉川さんからは資料を送ってくれと言われたのでファクスした。顧問弁護士にも伝え、吉川さんと話をするようにお願いした」

弁護人「そのときはどういう気持ちだったのか」

羽賀被告「ひどいという気持ちがあったので、顧問弁護士には『どういうことでしょうか。ひどすぎます』と語気強く言ったと思う。感情は高ぶっていた」

弁護人「(羽賀被告の預金証書を示しながら)平成18年7月3日に融資があり、4日に3700万円引き出しているね」

羽賀被告「はい。嫁に頼んだので覚えている」

弁護人「渡辺二郎被告に渡した3000万円は返済ではなくて、脅したことの報酬と疑われているのは知っているね」

羽賀被告「わかっている」

弁護人「7月2日に暴力団風の人に展示会で迫られ、その翌日に顧問弁護士や吉川さんに電話をして、どうしてなんだという気持ちだった。そういう人が、4日に報酬を支払う気持ちになりますか。普通はすべてが終わってからではないか」

羽賀被告「そうだと思う」

弁護人「7月4日はまだ脅しが続くかもしれないという状況でしたね」

羽賀被告「はい」

弁護人「渡辺被告から3000万円を借りたのは、沖縄の店の運転資金ということだったが、それにしても大きなお金を無担保無利息で、そんな簡単に貸すものなのか」

羽賀被告「当初は二郎さんのお知り合いとかを紹介して頂いたり、どこか紹介してもらいたいという気持ちもあったのですが、二郎さんからは『それくらいなら出したる』と言われた」

弁護人「渡辺被告はあなたにとってわがままを聞いてくれる存在なのか」

羽賀被告「普段は厳しい人で、怒られたりしているが、実際に助けてくれたからそういう気持ちはある」

弁護人「男性の依頼で債権取り立てをしていた暴力団関係者らとは面識がないということだったが、渡辺被告はどこからかかわったという認識か」

羽賀被告「わかりません」

弁護人「渡辺被告から電話がかかってきたことはないのか」

羽賀被告「お金のことで返済が遅れていたから、それについて電話があり、そのときに『男性の件は大丈夫か』と聞かれ、『弁護士に話をちゃんとしています』という話はしていた」

弁護人「詳しい話はしていないということか」

羽賀被告「もちろんです」

⇒(6)死んだら全財産を渡すという遺書…